レビュー:THE WHITE STRIPES『ICKY THUMP』

"ブルースはなぜ悲しいのか?"という疑問はあながち正解ではない。


"それはブルースが悲しいから"と言ってしまえば元も子ないわけだが、
そもそもは移民の音楽である。
その昔、アフリカ系アメリカ人が悲しい現実を卑下して始まったのがブルースで、言い換えてみれば悲しい現実を忘れるため、明るい未来を夢見て歌い始めたのがブルースだとも言える。
そう、ブルースとは未来のある音楽なのである。


そのブルースと、ガレージ感の効いたリード・ギター、そしてドヘタなドラム(イイ意味で)を"ロック"という大鍋にぶち込んでみるとどうだろう?
THE WHITE STRIPES』という悲しい過去なんてなかったように叩き壊し、楽しい現実を突き進むブルース・ロックの出来上がり。


THE WHITE STRIPES』と言えば、リフである。
"SEVEN NATION ARMY"に代表される様に、リフ命。
分かりやすくて、耳に残るリフこそSTRIPESの醍醐味。


今回の一発目"ICKY THUMP"も強烈なリフで仕掛けてくる。
マンドリンシンセサイザーバグパイプなどの特殊な楽器が彩りを与え、そこにジャックの超ハイテンションなボーカルが加わるともうトランス状態、アドレナリン全開!!
"ICKY THUMP??!(マジかよっ?!)"とは良く言ってみたモノです。


「買え!」とは言いませんが、1,9,13曲目だけは試聴機なりで聞いてみてください。試聴したら買え。


決して2006年の『THE RACONTERUS』の活動がムダではなかった・・
と言うより、『THE WHITE STRIPES』が無事に再開できたことが幸いです。

Icky Thump

Icky Thump