レビュー:THE CORAL『ROOTS & ECHOES』

まずは、何故コレを買ったかについてお話しせねばなりません。
ひょんな事から、¥3500分の商品券をゲットしました。使い道はと言うと、当然CD。
洋楽であれば、2枚はイケるありがたい金額。
となると、第1候補は、BATTLES『MIRROED』。もしくは、LOCKSLEY『DON'T MAKE ME WAIT』。狐コンピに手を出すというのもアリ。
約1時間真剣に悩みきった後、試聴機に目をやると、『THE CORAL』の文字が飛び込んで来た。
はっきり言って苦手です。いや、苦手だったと言おうかな。
「まさかね・・」と淡い期待を持ちながら再生してみた結果、コレを買いました。
その感想は以下に。


かの、Oasisノエル・ギャラガーが2005年ベスト・アルバムとして選んだのが、
THE CORAL『THE INVISIBLE INVASION』だった。
その当時、Oasisもアルバムを発表していたのだったが、ノエルが圧倒的にこの作品を褒めちぎっていたのが印象的で、それがTHE CORALを知るきっかけにもなった。
しかしながら、先日もお話ししたように理解できませんでした。演歌みたいっていう印象が強すぎて。
「何か気持ち悪ぃ!」みたいに思っちゃたら最後。それ以上でもそれ以下にも感じなくなりました。


それから2年。前述の通り、ヘッドホンを手にとって見るとコレが大逆転!!
一言で表現するならば、"原点回帰"。
この"原点"とは、『THE CORAL』という小さな枠組みではなく、生まれ落ちて50年が経った"ロック"の歴史そのものとご理解頂きたい。
時代を遡り、『カントリー&ウェスタン』、『ブリティッシュ・ビート』、『フォーク・ロック』、『サイケデリック』・・・
つまり、60、70年代(ハード・ロックが誕生する以前)を代表するTHE BEATLESTHE BEACH BOYSTHE BYRDSなどの音を、見事に現代に再現しているわけである。
4曲目"JAQUELINE"。前後曲との変調ぶりがハイライト。


現代の流行は言うまでもなく、クラブ/ロックの融合(クロスオーバー)。
ありとあらゆるバンドがこの道を辿り、「どのバンドが最もイカれてるか?」、「どのバンドの音楽がイケるか??」と凌ぎを削っている中、THE CORALはそういう状況を知らん顔、お構いなしで通り抜けてしまった。


当然、流行というモノはいずれ廃れていくものである。それが分かっているからこそ、とことん盛り上がっているわけだが、この流れを壊すものはというと、真逆でとことん暗い音楽(絶望のドン底を見たような音楽)というのは間違いないだろうと踏んでいる。
そうじゃないと、均衡が保てないし、体が持たないでしょうよ?
とすると、THE CORALは『時代の流れを先走る、非常にCleverなバンドだ』という結論に達する。


音楽の"ROOTS"を、現代で"ECHOES"した非常にタイムレスな作品。
2007年、隠れた名盤です。
(画像がないのが非常に残念。)