チャットモンチー『生命力』

皆様、もう手に入れましたでしょうか??
チャットモンチーの2nd『生命力』です。
今回は、全曲レビューという形式で書いていきたいと思います。
というか、やんなきゃダメだね。コレ。


1."親知らず"
方々で大人気になりつつある曲。先日の『トップランナー』でメンバー登場の時に、この曲がかかってました。
非常に特徴のあるギターリフで始まり、3ピースとしてのアンサンブルが素晴らしい。
1曲目でしかありえないだろうと思う。
上京して来たからこそできた曲。


2."Make Up!Make Up!"
今作で唯一の駄作。いらなかった。
女性目線で描かれているし、女性らしい曲であるのはわかるんだけど・・
ノーアウト1塁の好機に、送りバントを確実にキャッチャーフライにしてしまうようなダメダメ2番バッター。


3."シャングリラ"
もう信頼度150%の超ベテラン。今更言うことなし。
ライブでもアゲアゲになれるわけだし。鉄板。
PVのリーダーが最高。


4."世界が終わる夜に"
この曲についても、文句のつけようがないほど名曲。
シングル化されてなくて、このアルバムで初出だったとしたら、『耳鳴り』"どなる、でんわ、どしゃぶり"ぐらいの衝撃があったと思う。
自分が神様だったら、自分が悪魔だったら・・。
世界を支配できる絶対的な存在になったとしても、今のような世界にはしなかったと唄っている。
これほど反社会的(=パンク)な曲はないと思う。


5."手のなるほうへ"
後曲の"とび魚"と並んで、今作のコンセプトが窺える曲。
『前作よりもノリのあるモノを』。


6."とび魚のバタフライ"
当初は苦手だったこの曲も、回りに回ってイイ!!と思えるようになってきた。
『裏の裏は、最強の表』なんでしょ??
ライブではクラップ・ハンズを決めたい。
作詞したのはあっこちゃんだけど、"世界〜"とは全く違う世界観が広がるのも魅力的。


7."橙"
英語詞を歌うリーダーに尽きる。
これを作ったのが高校3年というんだから、やっぱすげぇ。この女。


8."素直"
ある意味実験的な曲ではないでしょうか??
ギター、ベース、ドラムという"3種の神器"を捨てて、ピアノとクラリネットで演奏されます。
新たな可能性を見出したか??
生で聞くと泣けてくるだろうなぁ。


9."真夜中遊園地"
前曲から一転して、ハイテンションになる。
おそらく、チャット史上最も難しい曲になったのではなかろうか?
演奏面ではなく、歌が。サビ部での盛り上がりが、恐ろしく高いキーまで飛んでいく。
リーダーの歌唱力を見てみたいのなら、この曲で。


10."女子たちに明日はない"
アルバムタイトル『生命力』のイメージが、そのまま乗り移るような曲。
女子として生きていく事への、力強さ、決意みたいなモノを演奏、歌詞からビシビシ感じます。


11."バスロマンス"
チャットモンチーは、カップリングの方が最強説』を一人で提唱していますが、まさにコレ。
変化球なく、幸せそのものな歌詞。


12."モバイルワールド"
くみこんが言っていた「想像とは全く違う曲が付いた。」とは、この曲のことを言っているのではないか??
チャットモンチーでなければ、ロック・チューンになりえなかったと思う。
この食い違いも面白いとこ。
携帯電話を題材にして、ユニークな解釈が垣間見れる。


13."ミカヅキ"
今作でリーダーが作詞したのは、7."橙"とこの2曲のみ。
"橙"は昔の曲で、よくよく調べると"ミカヅキ"も高校2年の時に作られたそうだ。
つまり、今回リーダーは作曲に専念していたことになる。奇しくも、東京事変椎名林檎と同じようなスタイルになっている。
その2曲をアルバムの中盤(核)になる部分とラストに持ってきたのは、リーダーなりのこだわりか??
この曲で締めくくることで、アルバム全体のバランスをクリーンにしてくれる。
隠れた名曲です。


全体を総括して、製作のコンセプトを明確に持ったことで『耳鳴り』よりも、格段にまとまりがある。
収録曲の約半分が既出曲という怖さがあったものの、未発表曲との兼ね合いが見事で、結局は非常に良いバランスを生んだ。
"2nd"という壁を、バンドとしては最も良い形で乗り越えたのではないだろうか??
そういう意味では2007年のベストに成りうるし、このバンドの未来はまだまだ明るいと思う。

生命力

生命力