レビュー:The Birthday『TEARDROP』

まずは、文句からイイですか?
"iTunes"にインポートすると、アルバム名が『EARDROP』になってしまいました。
違うっしょ?耳が落ちたら怖いし、痛いでしょ??
修正願いま〜す。


"Thee Michelle Gun Elephant"は最高。"ROSSO"は異質で難しい。
では、"The Birthday"は?と言うと、確かに1st『Rollers Romantics』の時点では発展途上のバンドだった。
"The Birthday"としての始まりのシングルが"stupid"であり、これにはかなり疑問を抱いた人も少なくなかったのではなかろうか?
なぜなら、メンバーがチバユウスケクハラカズユキ(元TMGE)、イマイアキノブ(元ROSSO)に加えて、ヒライハルキという現24歳の(他メンバーとは一回りも年齢差がある)若いベーシストで構成されており、音楽的な経験、1バンドとしての力量が足りなかったのではないか??そう感じている。


その"The Birthday"がツアーや困難を乗り越えて発表した、2nd『TEARDROP』。
今日は、全曲レビューという形式でこの作品について言及していきたいと思います。
なぜなら、それほどまでに素晴らしかったから。


タイトル『TEARDROP』(="涙")という言葉で表されるように、アルバム全体としてはミドルテンポで重く、深く心の奥に染み込んでくるかのような曲が中心となっています。それでは、どうぞ。


1."バブスチカ"
このアルバムは、"バブスチカ"という架空の女性が何度も叫ばれることから始まる。
『1曲目』という位置づけは、その作品の簡単な自己紹介、「こういう路線でやってくけど、わかってくれる?」だと思う。
こんな風に語りかけるような掴みやすい曲を置くことが重要。
この1曲で、"The Birthday"が明らかに次のステージへ進んできたことが伺える。


2."プレスファクトリー"
"プレスファクトリー"、別名"チバ、唄う"。
ノドから吐き出すようながなり声を潜め、チバさんが唄っている。それだけで珍しいじゃないですか。
終始、ベースが柔らかくミュートされて流れていくのが気持ち良い。
パンの耳を切らないことが結構重要(笑)。


3."LOVERS"
ライブでもおなじみの一曲。
バンドとしての完成度、アンサンブルが最も良く味わえる。
"僕"は、暗がりを望み、眠りにつく。"彼女"は、陽の当たる場所を欲しがり、外に出る。
状況は違えど、"I don't care"。


4."アリシア(TEARDROP MIX)"
先日EP盤でリリースされ、このブログでも紹介しました。
(TEARDROP MIX)となっているが、EP盤との大きな差はない。
しかしながら、その疾走感が何倍も多く感じられる。
おそらく、前曲で味わったメロウでしっとりした気分を、一気に爆発的なロックン・ロールテンションへ押し上げてくれるからだと思われる。
以降、アップテンポなロック・チューンが続く。


5."BABY TONIGHT"
2曲ほど、ハード・ボイルドで頭の神経が切れたかのような、IQの低い世界が広がっていく。
"アリシア"からのテンションを引き継いで、叫べ!騒げ!!踊れ!!!
「BABY TONIGHT!!」。


6."STRIPPER"
シングルカットしても良さそうだけど、"STRIPPER"だもんなぁ・・。ムリでしょうな。
出だしから高いギター音を筆頭に、非常に分かりやすい8ビートロックを展開させる。
ライブだと鉄板だなぁ。
イマイさんの天才肌プレイを感じてください。


7."LUST -チェリーの入ったリンゴ酒を見て想うこと-"
中盤を迎えたので、ミドルテンポで落ち着いてみましょう。
次曲"ジェリーの夢"とともに、物語的要素が強い。9:50あります。
−チェリーの入ったリンゴ酒を見て想うこと−。 "夜"しか浮かばない。


8."ジェリーの夢"
これもイマイさんのソロギターがメロディアスで、"涙"を誘うような曲。
何度も呼びかけるけど、"ジェリー"は最後まで現れない。悲しいです。


9."タランチュラ"
自分の話になりますが、この曲を迎えるとかならず何かしらのトラブルがあります。
電車を降りたり、イヤホンがiPodから抜けたり、誤作動で次曲になったり・・。
因縁めいたモノを考えてしまいますが、1mmも関係ないです。

弱冠テンポを上げつつも、ダルそうな伸びのあるギターと微かに聞こえるピアノが効果的。
それも次への布石。


10."モンキーによろしく"
"モンキー"とは?少し手が長かったから。
リズミカルな展開とともに、チバさんの暴力的なシャウトが絡まり、腹から踊らせてくれます。
時間が経つうちに、歌詞とかどうでもよくなってきます。とにかく、騒げ!!


11."KAMINARI TODAY"
名曲。前10曲全て、この曲に辿り着くまでの布石に過ぎず、ラストでしかありえない。
過去に行ったこと、思ったこと、言ってたこと。様々な後悔を背負いながらも、"神々を置き去りにしようぜ"、"悪魔共抱きしめてやろうぜ"、"カミナリを鳴らしにゆこうぜ"と、未来へ希望を見据えたチバ流のメッセージが満載。

"生きる"ってことは幸せだけど、簡単なことじゃないらしい。だから、立ち止まってはいられねぇよな。
多くの苦難を乗り越えて2ndを迎えた"現在"だからこそ、作ることができた一曲。
"The Birthday"の、チバ自身の、この先への覚悟・決意が刻み込まれています。
これだけでいいから、聞きなさい。


『今週の一曲』のコーナーにノミネートしたかったけど、全曲レビュー書いてしまいましたので保留。
それよりも書くべきなモノがありました。乞うご期待。

TEARDROP(初回限定盤)(DVD付)

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